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ケルンボールのこと 1/5

おすわりするようになるまでの紐つきボール遊び

ケルンボールで遊ぶ-①

(1)ボールを一つ握って

 お母さんはほほえみを浮かべてやさしく語りかけます。

 「しっかり持ってちょうだいよ。ほら、ゆっくり、ゆっくり持ちあげるわよ」
 「さあ、こんどはリナちゃんが引っ張ってね。イチ・ニ・イチ・ニ」

 一つの *<ケルンボール> で遊ぶ時には、残像が最も残る赤いボールを「主人公=基本ボール」にして下さい。他のボールと一緒に扱う時には、できるだけ赤いボールと関係づけて遊ぶようにします。
 一つの基本ボールを繰り返し与えることによって、乳児はしだいに、基本ボール以外の存在を意識するようにもなり、他の人、他の物があることを感じるようになります。他者の存在を感じることは、自分自身への意識を強めます。
 そして、基本ボールを設定することによって、10個のボールの同形・同量の関係だけでなく、他のボールとの色や動きや位置等の関係も感じとります。

 乳児がボールから手を離します。ボールは乳児の目の前でゆらりゆらりと揺れています。

 この活動によって、母親の胸に抱かれていた時の一体感とは違った、分離の感覚を意識するようになります。つまり結合と分離の感覚を、ボールを握ったり離したりすることによって感じとります。

*)ケルン-Kern
ケルンとはドイツ語で種子を意味します。種子は1個の粒にすぎませんが、この中にはやがて葉を繁らせ、花を咲かせ、実をつける因子とエネルギーを内包させています。子どもも同じです。私達は子どもに新しい能力を付加するのではなく、すでに内在しているものを引きだすための働きかけしかできません。それは植物に水や養分を与えて、育ちやすい環境を用意する庭師の仕事と同じです。菊をバラに育てることはできません。菊は菊として、バラはバラとして育ちます。そのあり方を大切にすることによって花は健康に育ちます。WAKU童具の幾つかにこの名を付したのは、そんな願いと、それじたいが種子と同じ可能性を秘めているものであることを暗示させたかったからです。

(和久洋三著/『遊びの創造共育法 ②ボール遊びと造形』より抜粋)

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