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ボール遊びが育てる世界 1/6

ボールは万物のシンボル

 私達が住んでいる地球は *球体 です。球の上で私達は立ったり座ったり、寝たり歩いたりしています。その私達に光によるエネルギーを与え続けてくれている太陽も球体です。そして、私達の身体は精子と合体した球体の卵細胞が核分裂を繰り返してできたものです。大宇宙は球体をしているに違いない、そんな思いが頭をよぎります。人間の心、人間の精神の基底にあるものとして使われている魂という言葉も玉(タマ)が語源です。
 ドイツ語のボールには「万物の肖像」「万物の似姿」という意味があります。すべてのものは球体に集約されることを意味しています。
 そのためでしょうか、このボール=球は子どもから大人までを魅了し、様々なゲームやスポーツに使われていますが、とりわけ子ども達に愛されています。
 その最大の理由は幼い子どもは、いろいろなものごとをボールの中に感じとり、ボールを自分と同じように動きまわり跳ねまわることのできる分身のように感じるからです。

 このように子どもがボールを自分の分身として感じることは、人間としての自覚がはじまったことを意味します。なぜなら、人間は自分に似ているものを通して、自分を成長させようとするからです。やがて友達、身のまわりの人達、自然、宇宙の現象が人間洞察を深めていくための糧になるように、ボールは子どもの成長を促す手段になっています。
 それだけでなく子どもは、ボールの中に、様々なものをイメージし、イメージしたものに自分自身の姿を重ねて、自分とそのものを同時に理解していきます。
 また最も単純な形体という点でボールは最初に与える童具となります。単純なものからしだいに複雑なものへ、単一な世界からしだいに多様な世界へ、これがものごとを理解する筋道だからです。

*)球とボールの言葉の使いわけ
通常は「ボール」の表現をしますが、とくに形体について言及する時に「球」あるいは「球体」の語を使用します。

(和久洋三著/『遊びの創造共育法 ②ボール遊びと造形』より抜粋)

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