ボール遊びが育てる世界 2/6
全体を示すボール
子どもは弾むボールを見ると、自分も跳びはねて、自分とボールの共通点、一致点を見つけるように、他者や事物にも自分自身やボールと共通するものを見つけようとします。ボールをクルマにみたてたり、おとぎ話の登場人物に自分と同じ心や行動を読みとったり、身近な一つ一つの物の中に知ったものをイメージするのも同じことです。
これは対象の特徴や本質を直感する力が育っていることの表れですが、この力を育てるためには部分ではなく全体に意識を向かわせることが大切です。
これは一人ひとりの人間の成長過程についても、また民族や人類の発展史についても、全体の流れを掴まなければ正しく理解できないことや、一人の子どもを知るには、それが明るい面であろうと、暗い面であろうと、その子の生活全体を客観的に捉えねばならないのと同じことです。
料理をするにしてもすべての材料や調理する時間を頭に入れてつくらなければスムーズにことは運びません。
また、人体を描く時、常に全体の形を意識して頭部や胴体や腕、脚のバランスを観察しなければしぜんな姿を表現することはできません。
どれも全体を捉えることの大切さを意味しています。
子どもにこの全体を一瞬のうちに理解させる最適な対象がボールです。ボールはどこから見ても、いつも同じ形をしています。そんな形は他にはありません。
(和久洋三著/『遊びの創造共育法 ②ボール遊びと造形』より抜粋)
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