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積木とわたし 2/3

キーワードはつながり

 積木はいろいろな形をつなぎ合わせて、ひとつのまとまりのあるかたちをつくりだすものです。あるいは立方体や直方体や円柱などの単体が子どものイメージの中で椅子や自動車やビルとなります。これは人間の二つの思考形式、集中思考と拡散思考に一致します。<まとめ>と<応用>と言ってもいい。情報の統一化と多様化です。いずれも<つながり>を求める思考であり、活動です。
 つながり。
 これが宇宙謎解きのキーワードでした。
 思考ばかりではなく、万物はつながることによってその生命を全うしています。
 人間の肉体は血液があらゆる器官をつなぐことによって生を持続します。
 社会は様々な才能や人格がつながることによって成立しています。
 今この世に生を受けているわたし達は久遠の宇宙生命の連鎖の結果としてあります。

芸術と科学の一致

 しかし、このつながりは調和されていてはじめて意味を持ちます。調和は必然の結果。調和なきものに必然はなく、必然なきものに調和はありません。
 積木はただ木片であればいいのではなく、そこにはひとつひとつの単体を関係づける大きさや個数に数量的な法則が内在していなければ意味はありません。例えば一辺がaなら他のパーツ(部品)の一辺が2a、3aとなるようなものでなければ、集合体は無理なく形成されません。秩序=法則性=必然性が調和を生み出します。
必然は科学として解明され、調和は芸術として表現されるあり方が生活の中にはあります。しかし、これとて不可分です。
 子どもが積木でひとつの建物をつくるとします。その造形が美的なものであれば、それは構造的な理にかなってもいます。
 こうしたことを子どもは積木で学んでゆきます。遊びは主体的、能動的であるゆえに楽しい学びとなります。
 学びの多いもの、すなわち、発見や表現が豊かにできるもの、それが子どもの心を捉えて離さない童具となります。
 積木はこの条件を充分に備えています。しかし、積木のように、宇宙原理、人間の本質に根ざした童具は限られています。昔、縁日から生まれた起縁そのままに、晴れの日のデコレーションケーキ、あるいは気晴らしのおやつのような意識で売られ買われ続けているのが現状です。
 童具が間食である時代はすでに過ぎました。

(和久洋三著)

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