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かずの木のこと 5/6

シェマと<かずの木>

 具象物を抽象化することにより数量の把握を容易にする計器として<かずの木>を紹介しました。ところが、いつもいつも<かずの木>を持ち歩くわけにはいきません。どんなに便利な計算をしてくれても、学校に持っていくこともできなければ、数を数えるたびに<かずの木>を持ちだすのも大変です。そこで出てくるのがシェマの形成です。
 シェマ(フランス語schema)というのは心理学の用語で、ものごとを認知したり、外界に働きかける時に土台をなす枠組み(構造・データベース)のことです。人間は生まれながらにして、シェマをもっています。生まれたばかりの時は、反射的なシェマをもっています。唇にふれたもの(乳房)を吸う、手に触れたものを掴む等です。この生まれつきのシェマを基礎に、新しいシェマが次々につくられていきます。
 はじめてボールを転がした子どもは、最初に「押す-転がる」というシェマをもちます。そして、なんでも押して転がそうとして、次には「転がるもの、転がらないもの」というシェマをもちます。
 人間はなにかしようとする時、この自分の手持ちのシェマを使おうとします。目や耳、手等を通して得た刺激にのみ反応しているのではなく、その刺激と自分のもっているシェマとを相互にやりとりすることによって、行動を起こします。
 子どもはなにかを学習する時に、各自それぞれ特有のシェマをもっています。<かずの木>は数量の概念把握を促すシェマとして大きな働きをします。

(和久洋三著/『遊びの創造共育法 童具編 かずの木』より抜粋)

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