童具館トップ > 童具ってなに? > おもちゃの与え方 2/5

おもちゃの与え方 2/5

童具を上手に取り入れて楽しい子育てを

自発性を育てるには口出しをしない

 『和久洋三のわくわく創造アトリエ』にやってくるある3歳の男の子とそのお母さんとの間にこんなことがありました。その日は空き瓶と粘土を使って花瓶をつくっていました。そのお母さんはいつものように心配そうに子どものやることに細かく注意を与えています。
 すると突然男の子は「うるさいっ!むこう、いってて」と、反逆したではありませんか。初めてのことです。
 「ほんとにいいの? お母さんいっちゃうよ」
 「いいっ」
 「大丈夫ですよ、お母さん」
 私にうながされてお母さんは別室に姿を消しました。その途端、その子はもう夢中でつくり始めます。自分の思うようにやれたのは初めてです。
 「よしっ、できた」
 その声の、なんと晴ればれとしたこと。納得いった、悔いはないぞ、という思いで発した「叫び」という感じです。出来上がりがまた、素晴しいのです。やがて、戻ってきたお母さんもびっくり。その子はふっと優しい声になって「おかあさん、さみしかったでしょ」と、母親の腕をさすっていました。

 創造活動をする中で一番ベースとなるものは子どもの「自発性」です。「やる気」といってもいいでしょう。なんでも自分からおこなうことが重要です。教えられたり、人から与えられたりという受け身な態度では、経験したことが身につきません。
 皮肉なことに、親や保育者があまりに親切ていねいに手出し口出しをするため、せっかくの子どもの自発性の芽を摘んでいる場合が少なくありません。
 この男の子は、拒否できたからまだ良かったのです。その気持ちさえも萎えて、子どもから「No!」のシグナルが消えてしまった時が怖いのです。どうか、先を急がないで下さい。そして子どもをもっと信頼してあげて下さい。子どもが夢中で何かをしている時には、言葉を飲み込んでいただきたいのです。

(和久洋三著/『おもちゃの選び方・与え方』より抜粋)

<おもちゃの与え方>の関連ページです

童具館へのご連絡は
電話 03-3744-0909 / FAX 03-3744-0988 / Eメール mail@dougukan.com
(対応時間10:00~18:00/FAX,メールは24時間受付・対応時間外は翌営業日以降の返信)